奈良文化財研究所

53354-佐保来栖山砦跡

文化財総覧WebGIS
総覧抄録ID : 53354
要約 : 佐保栗栖山砦跡は「砦」と呼称するよちも「山城」というべき規模を有することが明らかになった。全面発掘調査により、曲輪同士の連絡機能が明確となり、貴重な調査例となった。砦跡は自然の要害性の高い地形を選んで築いており、通路は丹波と大坂を結ぶ重要な街道である清阪街道に接続する。曲輪では掘立柱建物、土壁を有する礎石建物が検出された。注目すべき調査成果として、切土・盛土造成という築城の重要な工程のひとつである普請(土木工事)について、その労力を確認できたことがあげられる。出土遺物では、供膳具の土師器皿が多様に出土し、調理具、貯蔵具も出土したことから、砦内である程度の生活がいとなまれていることが確認でき、出土遺物の差異から、曲輪の機能分担が類推できた。砦の存続期間は、15世紀末から16世紀中葉までと考えられる。築城主体は、在地集落在住者である小領主が築いた城としては規模の大きさや構造面から考えにくく、もう少し強力な権力が介在したと考えられる。また、在地支配の拠点というよりも、何らかの軍事緊張の伴って築城されたことが推定される。
遺跡名 : 佐保来栖山砦跡
都道府県 : 大阪府
遺跡所在地 : 大阪府茨木市佐保字クルス
市町村コード : 27211
北緯(世界測地系) : 34.866388
東経(世界測地系) : 135.540555
主な時代 : 平安|室町
時代・遺跡種別 : 窯|城館
主な遺構|主な遺構 : 窯|焼土坑|曲輪|通路|出入口|竪堀|土塁|礎石建物|掘立柱建物|石積|土坑
主な遺物|主な遺物 : 土師器皿|備前甕|丹波壷|鉢|美濃瀬戸皿|水滴|貿易陶磁器|鉄釘|鏃|刀
総覧URL : https://sitereports.nabunken.go.jp/30354
特記事項 : 10世紀の炭窯と焼土坑。\n|16世紀の山城。全域を調査し、全体構造、盛土・切土の状況が把握された。