奈良文化財研究所

44340-天寧1遺跡

文化財総覧WebGIS
総覧抄録ID : 44340
要約 : [天寧1遺跡 要約]\n天寧1遺跡町道改良地点は、釧路川の左岸、現在の海岸線から5.5km内陸に位置し、釧路湿原に向かって突き出た段丘上に立地する。台地上には続縄文時代前・後半期の遺構・遺物が検出され、段丘崖に相当する斜面部では樽前C1テフラの上位で縄文時代晩期後葉の動物遺存体を多量に含む魚骨層が検出された。  縄文時代晩期後葉は台地部の土坑と斜面部の魚骨層が検出され、土坑は直径1m以下の小型のものがおおい。副葬品があるものは少なく、石斧3本と大型剥片が埋葬された熟年女性の墓が確認された。魚骨層は緑ヶ岡式古段階に相当し、多くの動物遺存体と土器・石器等が出土した。動物遺存体は魚が最も多く、イトヨ・カレイ類・ヒラメなど砂泥底に棲息する魚がほとんどで、当時遺跡近くまで砂地の海が迫っていたと考えられる。鳥はハクチョウ類・ガン類・大小のカモ類が多く、鳥管骨は骨製品の素材となる。哺乳類で多いのはイヌで、切創や幼獣の比率が高い特徴は、当該期の道東北部の遺跡に類似する。海棲哺乳類は少ない。土器は緑ヶ岡式古段階で、深鉢・鉢・壺・舟形土器が出土した。また、大洞A式の搬入土器(壺)付着黒曜石が参考値ではあるが岩木山系と判定され、津軽周辺で作られて遺跡まで持ち込まれた可能性が高い。  続縄文時代前半期は竪穴住居跡が検出され、それに伴う土器・石器類が出土した。縄文時代晩期に比べ石器類の内容はほとんど変化がみられない。  続縄文時代後半期は北大2式の土坑墓が検出され、縄文時代晩期のものより直径が大きい。包含層からは同時期と思われるオホーツク式土器が1個体出土した。 \n
遺跡名 : 天寧1遺跡
都道府県 : 北海道
遺跡所在地 : 北海道釧路郡釧路町中央7-15
市町村コード : 1661
北緯(世界測地系) : 43.0128
東経(世界測地系) : 144.43
主な時代 : 縄文
時代・遺跡種別 : 集落
主な遺構|主な遺構 : 土坑|東西斜面魚骨層|竪穴住居跡4
主な遺物|主な遺物 : 緑ヶ岡式土器|大洞A式|石鏃|ナイフ|砥石|銛頭|骨針|動物遺存体|フシココタン下層式土器|興津式土器|北大2式土器|円形掻器
総覧URL : https://sitereports.nabunken.go.jp/25432
特記事項 : 大洞A式並行期の緑ヶ岡式古段階期の魚骨層が検出され、短期間で形成された人工遺物と動物遺存体が得られた。また、参考値ではあるが、大洞A式の壺の胎土中の黒曜石が「岩木山系」と判定された。\n主な時代:縄文晩期後半|主な時代:続縄文前半|主な時代:続縄文後半